江戸時代末期、蝦夷地(北海道)にはアイヌ民族との交易所がいくつもあったそうだ。1806年樺太と利尻のその交易所がロシア海軍に襲われた。その事態を重く見た幕府は、蝦夷地を直轄地とし、寒さに強い東北の諸藩士を北方警備に派遣した。1807年宗谷で任務についた230名。しかし想像を超えた寒さと食糧不足で70名余りが倒れ北方警備は悲惨を極めたと記録されている。その約半世紀後の1855年再び蝦夷地の警備に向かった津軽藩士らに幕府はコーヒー豆を支給した。
函館奉行はこう通達したと言う「和蘭コーヒー豆、寒気を防ぎ湿邪(しつじゃ)を払う。」
その昔長崎の出島に持ち込まれた医学書にもこのコーヒーの効用が書かれていたという。
また現在、北海道稚内宗谷公園にはこの史実を後世に残す為、コーヒー豆をかたどった「津軽藩兵詰合記念碑」が建立されている・・・。
ここ数日、厳しい寒さがつづいている。駆け込む様に店内に入ってくるお客様の顔はどこか青白く厳しい。店内に入り「いつもの」と言いながら席に滑り込む。ほどなくいつものスペシャルブレンド・・。
熱い液体を少しづつ胃袋に送りこむ・・ホッ。たわいない雑談、たっぷりと通常店の2杯分出しているにも関わらずおかわりを2回。「ごちそうさん」って言った顔がほんのり赤く上気していた。
北海道と津野町寒さも時代も違うけれど、珈琲はいつも凍えた人を芯から温める。
凍えながらいらっしゃるお客様同志はなぜか心を開いていて、和気あいあいと語り合う。
山の避難所の様な昨今の当店。
2017年01月01日
・自家焙煎珈琲 ・手作りケーキ ・コーヒー豆の業務卸 ・コーヒー器具、雑貨